揺れる電車内
大学の帰りにむしょうに遠回りしたくなる時がある。遠回りできない一直線の電車で帰れるから、せめてもの抵抗で各駅停車で帰ってみる。
一駅ごとにあく扉から寒風が吹きこみ、足が冷える。
日が傾いて、ちょうど眩しい。
一列の電車に一人くらいしか座っていない。
通過する公園には誰もいない。
こんなときに一瞬だけ将来の夢とか、心配とか、レポートの締め切りとか、今日の夕飯とか、一切の思考が真っ白くなる。
目の前の通過する出来事しか頭に入ってこなくなる。
多分、いつも私たちは考えすぎているのかもしれない。
たくさんの考え事に支配されて、何か重要なことを通過しているのかもしれない。
はっとしたときに最寄駅についている。心がコポコポ満タンになる音がする。
エナジーチャージ、完了。
つな缶